こんばんは。残り少ない平成の時代をいかがお過ごしでしょうか?
今日は、珍しく?音楽の話をしたいと思います。
なんで音楽の話?
なぜ突然、音楽の話を始めるのかというと、某大学教授の桐野美也子さんが配信されているポッドキャスト「F1ファンになる方法」を拝聴したところ、「F1とケミカル・ブラザーズの楽曲がタイアップしたことについてどう思うか、port Fのミヤケに語ってもらおう」とご指名を頂いたからです。
そのポッドキャストがこちら
F1ファンになる方法 #F1Log by 桐野美也子
ちなみに私、port Fのミヤケはport Fをはじめる直前くらいまで、趣味で音楽制作やDJをやっており、全く売れることはありませんでしたが、ユニットを組んでインディーズ・レーベルからCDを出したりしました。
その時ユニットを一緒に組んでいたのは、port Fのロゴデザインなどをやってくれている moollyemです。
その時のCDは今でもAmazonで売ってます(おい、中古が1円だぞ….)
桐野先生とは直接面識はないのですが、おそらく共通の友人のような方が居て、その方が桐野先生に何かこのへんのことを吹き込んだためか、ポッドキャストでご指名を頂いたようです。
オンガクとエフワンとわたし。
モータースポーツと音楽はおそらく切っても切れない関係だと思います。F1中継や関連番組、テレビゲームなどから名曲が沢山生まれましたが、残念ながら自分はそれほど詳しくはありませんので、過去の名曲を語ることについては他の方におまかせするとして、ここではまず、自分とF1と音楽の関係をお話します。
自分が音楽をはじめるキッカケになったのは、T-Squareの「TRUTH」でした。日本人ならF1ファンでなくとも誰もが知っている名曲ですね。
91年からF1を見始めた自分は、「TRUTH」の魅力にハマっていきました。T-Squareは日本のフュージョン・バンドで、高い演奏能力や美しいアレンジで評価されており、「TRUTH」以外にも数々のヒット曲があります。
ご存知の通り、「TRUTH」という曲はボーカル(人の声)が入っていません。
「TRUTH」にハマっていく過程で、ボーカル無しの楽曲、いわゆる「インストゥルメンタル」に対する抵抗が全く無くなっていきました。
そこから、YMOなどのボーカルの無い初期テクノ・ミュージックや現代のエレクトロニック・ミュージックにどっぷり足を突っ込み、自分でも作っていくようになりました。
数年前、知り合いのあるミュージシャン(F1ファンではない)が「自分の周りにはTRUTHがキッカケで音楽家を目指した人が意外に多く、F1が日本の音楽家に与えた影響は大きいかもしれない」と言っていたことを覚えています。
ケミカル・ブラザーズの”例の曲”
さて、このブログをお読みの方は、F1とケミカル・ブラザーズがタイアップした曲についてはご存知でしょうか?
ケミカル・ブラザーズは、イギリス出身の二人組エレクトロニック・ミュージック・ユニットで、エレクトロとロックを融合させた形態で話題になり、日本のフジロック・フェスティバルなどでも大トリを務めるなど、デビュー当時から現在までクラブミュージックのトップを走り続ける存在です。
いくつか彼らの代表曲へのリンクを貼っておきましょう。
- Setting Sun(1995年)
- Let Forever Be (1999年)
- Hey Boy, Hey Girl (1999年)
- Star Guitar(2002年)
- Galvanize (2005年)
そして、話題のF1とのタイアップ曲「We’ve got to try」がこちら。
正直なところ、この曲を初めて聞いたとき、過去の彼らの名曲と比べて「ディープ過ぎる…」という印象を持ちました。
ビキビキ、ウニョウニョとウネる電子音、癖になるようなボーカルと耳に残るストリングスのフレーズ…など、イギリスらしいウィットなダンス・ミュージックとしてはクールなのですが、これまでのケミカル・ブラザーズのヒット曲のようにギターが唸るわけでもなく、轟音のドラムが激しいビートを奏でるわけでもない…。
誤解されないようにしたいのは、この「We’ve got to try」がケミカル・ブラザーズらしくないというわけではありません。彼ららしいアレンジやフレーズはたくさん散りばめられていますが、シングルカットされて大ヒットするようなタイプの曲ではない、ということです。
また、比較対象としてふさわしくないかもしれませんが、これまでフジテレビのF1関連番組で使用されてきた楽曲や、ブライアン・タイラーのF1テーマにあるような「わかりやすいカッコよさ」に欠けるような気がして、「受け入れられるだろうか…」と心配しました。
ところが…! この「We’ve got to try」は、F1の映像やグラフィックと絡み合うと途端に奥に隠れた魅力が浮き出てきます。何度も繰り返されヤミツキになるようなフレーズと、F1が持つ偏執病的な速さへのコダワリみたいなものがマッチして、ドライビングやエンジニアリングのクレイジーさが際立つように見えます。
例えば、こういう動画です。
Next stop: Baku!
— Formula 1 (@F1) 2019年4月25日
Where the action is eye-popping #AzerbaijanGP #F1 pic.twitter.com/OSWm6VsOFh
Twitterなどで周りの反応を見ると、自分の想像を超える好評ぶりで、ちょっと上から目線ですけれども「このディープな曲がこんなにウケるとは!」と驚く反面、なんだか嬉しくなりました。
ケミカル・ブラザーズの二人はF1ファンであることを公言しているようでしたが、レース映像と音楽が化学反応を起こし、楽曲の持つ魅力が浮き出ることをよく分かっていたのではないかと推測します。
Kinki Kidsの堂本光一さんや、グッドスマイルレーシングの初音ミクなど、本来レースとは無関係な何かをキッカケにモータースポーツが好きになったり、モータースポーツに付随する何かの要素をキッカケに、そちらにどっぷりハマるようなことは往々にしてよくあること。
自分を含め多くの人が「TRUTH」を通じて、インストゥルメンタルに理解を深め、音楽作りにハマっていったように、「We’ve got to try」を通じて、”流行りのEDM”とは違う奥深いエレクトロニック・ダンス・ミュージックの世界に足を踏み入れるキッカケになればいいな!と思った次第です。
オマケ
さて、このブログ記事では、自分の言いたいことだけ書いた気がするので、ミヤケのF1関連のおすすめミュージックをご紹介して終わります。
そのおすすめミュージックはAOKI Takamasa(青木貴允)さんというアーティストです。自分が音楽をやっているときからずっと憧れ続けているエレクトロニック・ミュージックのDJ/アーティストです。
自分が知りうる限り、AOKIさんの音楽は、F1関連番組などで使われたことは無いと思いますが、彼は常々F1ファンであることを公言しており、楽曲のタイトルなどにも現れています。
僕が今日紹介したいのは、そんなAOKIさんが2005年に発表された「Parabolica」というアルバムで、ほとんどすべての楽曲がF1絡みのタイトルになっています。
そのアルバム「Parabolica」のなかのタイトル曲「Parabolica」が今日のおすすめ。
他にも「MIRABEAU」や「ASCARI – dry_condition」や「LESMO」などF1ファンならニヤリとするタイトルばかり。
AOKIさんは、F1のミニチュアカーを見ながら楽曲を作ることもあるそうで、F1が持つ流麗さや機能美などが見事に音楽に昇華されているとミヤケは思います。
ほとんどボーカルもなく、最低限の音数で表現されている楽曲は、普段聞き慣れているダンスミュージックとは趣が異なるかもしれませんが、聞けば聞くほどヤミツキになります。ぜひ聞いてみてはいかがでしょう!